♪沢山のご縁に恵まれて、母のお花器は岡山に♪
母のお花器約70個を岡山の磯谷夫妻に託し、かなりほっとしました。
実家の納戸に置いてあった母のお花器は、100個以上。
親戚からも「これは、ゴミ。」と断言され、「親の遺したものの処遇に心を煩わせずに、捨てた方が良い。」とも言われましたが、母が本当に生け花が好きだったことを知っている私は、”捨てる”ということは考えたくなかった。少しでも生かしたいと思っていた。
母は最後の1年くらい、かなり惚けてしまっていたが、肺炎で寝たきりになるまで、私は実家に行く時、必ず花を持って行っていた。鋏を持つ手もおぼつかなかったので、持って行くのは”切り易いように茎の柔らかな花”と決めていた。
「お母さん、お花よ。生けて。」と言うと、顔つきが変わる。いくつかのお花器を納戸から選んで持っていくと、真剣な顔で見る。時には、違うお花器を指定した。
母がいつも花を生ける時に使っていたアルミのお盆と鋏、水切りをする器をセットで母の前に置くと、片手で花をざっと持ち、お花器と見比べる。そこから後は、早い。普通の時とは全然違い、さっと決断して、花をさっと切り、お花器に。
そして、手でささっと直すと、不思議なことに、花が息をして、生け花になる。魔法だった。
そして、「お水を、この辺りまで入れてね。」と。
その後は、いつものぼおっとした顔つきに戻ってしまう。
磯谷夫妻とは以前から親しくしていたけれど、奥さんのHちゃんに母のお花器を預かっていただこうと思うきっかけを作ってくれたのは、ハーピストの福本しのぶちゃん。
2010年の秋、しのぶちゃんの岡山でのコンサートを聴きに行き、磯谷夫妻と久しぶりに再会。その翌日、倉敷に磯谷氏の個展を見に行くことになり、Hちゃんと倉敷駅から美観地区に行く道を歩きながら、”岩田ガラス”の話をした。
私が小さい頃、母が「これは岩田藤七先生のお花器なの。」と、とても大事に扱っていたお花器があって、幼心に”岩田藤七先生って偉い人なんだろうな”と思った。
「実家にはね、母がとっても大事にしていた岩田藤七作のガラスのお花器もあるの。」とHちゃんに話したところ、彼女、とっても興味を持ってくれた。倉敷で会った一ヶ月後、実家でワインパーティーをした時、彼女も遠くから来てくれて、母のお花器の中から”欲しい”と思うものに印を付けていった。
その数ヶ月後、磯谷さんと東京で会った時、「お花器、運んでいくね。」と話したら、「ウチ、山にアトリエ建てるから、お花器、要らない分を全部預かっても良いよ。」と言ってくれた。
この申し出、本当に嬉しかった。
かなりな数のお花器があり、私が欲しいものもあったので、仕分けの為にリストを作ることになったが、それをやってくれたのが、友人の谷氏。2日間かけて写真を撮り、その後、ノートに大きさや形状の特徴を書くという面倒な作業をほとんどやってくれた。
実際に梱包してくれたのは、夫。
家具やら食器、本類、衣服と実家の整理に追われる私の手が回らないことを考えて、夫は、谷氏が作ったリストを完成させて、本物と見比べつつ、お花器を段ボールに詰めてくれた。
福本しのぶちゃん、谷氏、磯谷夫妻、そして夫や家族と沢山の温かい気持ちに支えられて、母のお花器達は無事、岡山の磯谷宅に。
ずっと埃をかぶっていて、くすんでいたガラス器、Hちゃんに洗ってもらったら、見違えるよう!
上の写真、床に置いてある黄色のお花器、母のお気に入りでした。机の上に逆さに置いてある微妙なべージュ色のポコッとしたお花器共々、岩田ガラスのマーク入り。
私が途方に暮れて見ていた三本足のお花器、Hちゃんは最初から一番に気に入ってくれていた。梱包を解いた時、真っ先にお花を生けてくれた。
それがこちら。
ネギ坊主と、庭に咲いていたお花が実にしっくり。ずっとここにあったみたい。
2つの口がある箱みたいなお花器も、「一体どう使うの?」と思っていたが、Hちゃんの手にかかると、すご~く素敵。
お花器が生きて、母もきっと満足している。
帰る直前に聞いた話。
岩田藤七さんのご親戚でガラス界で有名な方と磯谷さん、以前からの知り合いだったんですって。
沢山沢山のご縁に感謝!!
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