« 芸術劇場 「右手の病を乗り越えたピアニスト、レオン・フライシャー」(12月4日) | トップページ | 第2回ガスパール・カサド国際チェロコンクールin八王子 本選結果 »

2009年12月 5日 (土)

ジストニアの治療法について(イザベル・カンピオンの意見)

”レオン・フライシャー”、”ジストニア”で検索されて、こちらにおいでの方が増えております。

ンセール・パリ・トーキョウは、本年6月にフォーカル・ジストニア(ジストニア)に関する講座、音楽家の為の運動療法( kinesitherapie pour les musiciens )の講座を企画しましたが、企画が終わった後も、ジストニアの悩みをお持ちの方々からご相談が寄せられております。

ご相談をお寄せ下さった方のお1人にお送りしたメールを、こちらに掲載致します。

と申しますのは、昨日のNHKの放映を見まして、1つの危惧を抱いたからです。

昨夜の番組では、ジストニアの治療法について3つの方法(下に書きます。)を示されましたが、その中の1つである「脳の外科手術」に関して、私が企画致しました講座の講師、イザベル・カンピオンは「慎重に考えるべきことである」、「それは、最後の最後の最後の手段と考えて欲しい」と強調していたからです。

昨夜、ジストニアの治療法として挙げられていた3つの方法とは、「ボツリヌス毒素を使用するもの」「リハビリ」「脳の外科手術」でした。「ボツリヌス毒素を使用するもの」には使用法の技術等の問題があるという説明があり、「リハビリ」にも問題があるという説明がありましたが、「脳の外科手術」については殆ど説明がありませんでした。
私の聞いたところでは、この手術は、「ほんの少し場所がずれただけで、下肢の運動をつかさどる部分を傷つけるので、足が動かなくなる危険性がある」という大変高いリスクを持つものだとのことなのです。

「リハビリ」にも問題があると説明されているのに、「リハビリ」のリスクとは大きくかけ離れたリスクを持つといわれる「脳の外科手術」については特に説明が無いというのは、どうしてなのかな?と疑問に思うのです。これでは、手術を受けたいと思う方が沢山出てこられるのではないかと。

「脳の外科手術」を受けた方がおいでになるのか、それで治癒された方があるのか、それについて私は知らないのですが、ジストニアの治療法として、脳以外の部分の手術を勧められるケースもあるようです。
私にご連絡を下さった方のお1人の方は、「頸椎の手術」を受けたとおっしゃいました。その結果ですが、「効果はなかった」とのことなのです。うかがっていても辛い話です。

ジストニア治療の専門家であるイザベル・カンピオンは、手術は「慎重に考えるべきこと」「最後の最後の最後の手段」という考えを持っています。

↓前置きが長くなりましたが、こちらが、私の書いたメールの内容です。

Yさま

私は、フォーカル・ジストニア(ジストニア)の講座を企画しておりますが、フォーカル・ジストニア(ジストニア)の専門家ではありません。また、私自身にはフォーカル・ジストニアの症状はありません。
パリの「音楽家クリニック」の運動療法士の方をご紹介下さる方がいらしたので、2008年(講師:マルク・パピヨン)と2009年(講師:イザベル・カンピオン)に、講座を開催致しました。

日本でも、いくつかの病院でフォーカル・ジストニアを専門に診ていらっしゃるお医者さまがいらっしゃるようですが、先日の講座においでの方々からお話をうかがいますと、メトードとして完成されたものではないようです。

治療に於いて実績のある(ピアニストのミッシェル・ベロフが通っていました。)パリの「音楽家クリニック」のメトードは信頼のおけるものと思い、6月に講座を開催致しました。

Yさんがお望みなのは、今の症状がフォーカル・ジストニアなのかどうかの診断をつけたいということではないかと思いますが、これは大変難しいことのようです。

6月には、日本のお医者さまからフォーカル・ジストニアとの診断を受けた方がグループ講座をお受けになりましたが、その結果、「フォーカル・ジストニアではなく、技術の不足と筋力の不足」という判断が出ました。それに関して、講師のカンピオンは、「その見極めは大変に難しい」と言っておりました。

1つだけ申し上げておきたいことがあります。
日本では、お医者さまが手術をお勧めになることがあるようですが、「手術だけは絶対に止めなさい!」とイザベル・カンピオンが言っておりましたので、フォーカル・ジストニアであったとしても、手術はなさらない方が良いと思います。

そして、もう一つ。
実際の症状は、指に出ているようですが、その原因は指にあるのではなく、肩や腰、背中にある場合が多いのです。(カンピオンの言葉です。)
フォーカル・ジストニアであったとしても、そうでないとしても、演奏の際に基本となる良い姿勢、身体の構えを知ることは必要なことだと思います。

私には、この程度のことしかお話し出来ないのですが、参考になりましたでしょうか?

今後も、フォーカル・ジストニアに関する講座、音楽家のための運動療法の講座を企画して参りたいと思います。その情報は、コンセール・パリ・トーキョウのサイトに掲載致しますので、時々チェックなさって下さい。
http://hw001.gate01.com/roman/paristokyo/

*コンセール・パリ・トーキョウのサイトは、こちらに移動致しました。(2013年7月8日)
http://www.concert-paris-tokyo.com/

回復されることを祈っております。

|

« 芸術劇場 「右手の病を乗り越えたピアニスト、レオン・フライシャー」(12月4日) | トップページ | 第2回ガスパール・カサド国際チェロコンクールin八王子 本選結果 »

音楽」カテゴリの記事

ピアノ」カテゴリの記事

”音楽家の為の運動療法( kinesitherapie pour les musiciens )、フォーカル・ジストニア(ジストニア)”」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジストニアの治療法について(イザベル・カンピオンの意見):

« 芸術劇場 「右手の病を乗り越えたピアニスト、レオン・フライシャー」(12月4日) | トップページ | 第2回ガスパール・カサド国際チェロコンクールin八王子 本選結果 »