「ばらの騎士」が感動的なのは何故なのかしら?
「音楽の友 2月号」に”コンサート・ベストテン2007”という特集記事がありましたが、チューリッヒ歌劇場の「ばらの騎士」が第1位、ドレスデン国立歌劇場の「ばらの騎士」は第9位でした。「ばらの騎士」ファンの私には、嬉しい結果です!
1ヶ月近く前のことになってしまいましたが、1月12日にNHKでドレスデン国立歌劇場の「ばらの騎士」の放映がありました。それを見ながら、”どうして「ばらの騎士」って、こんなに感動的なんだろう?”って、考えてしまいました。私、「ばらの騎士」、大好きなんです。けれど、これ、ストーリーからいうと、陳腐な話なんじゃないかしら?”年下の男と浮気した人妻が、年下の男の幸せの為に身を引く話”です。そう考えると、どこにもありそうなお話。なのに、どうして、こんなに感動的なの?それとも、どこにでもありそうだから、感動的なの?
元帥夫人は、明らかに浮気をしている。けれども、彼女は非難を浴びることはない。ここのところは、”貴族って、そういうもの”っていう前提があるようですが、何故、元帥夫人がこんなに”かっこ良く”見えるんでしょうか?第三幕の元帥夫人、私には、”大人の女性のかっこ良さ”が堪らない。これって、”引き際の潔さ”故でしょうか?
”引き際の潔さ”で思い浮かぶのは、「蝶々夫人」。蝶々夫人は、ピンカートンとの結婚を諦め、子供を渡した後、帰るところはありません。死を選ぶ他ない蝶々夫人に比べ、「ばらの騎士」の元帥夫人は、何回目かの浮気を終わらせたというだけで、帰る場所があるんです。元帥という後ろ盾を失うことはない。”引き際の潔さ”とはいっても、蝶々夫人とは違う。その切羽詰まっていない優雅さが良いのかなぁ?
オクタヴィアンが去った後、おそらく、元帥夫人はまた、若い愛人を作ることでしょう。これまでと同じように。それなのに、第3幕で、あんなに崇高な女性として描かれるのは何故?音楽の美しさが、元帥夫人をより美しく見せている部分もあると思いますが、それだけではないように思えます。
私にとって、元帥夫人は素晴らしく魅力的な女性なのですが、”何故魅力的なのか?”って考えると、わからない。また、ストーリー自体は別に感動的とは言えないのに、どうして、こんなに感動させられるのか、それも、わからない・・・。
考えれば考えるほど、頭がこんがらかってしまいましたが、耳には、あの淡い切なさを秘めた宙ぶらりんで美しい和音の響きがよみがえります。冒頭のホルンの響き、通俗的だけど美しいワルツ、思わず涙してしまう第3幕の三重唱、そして、洒落た幕切れ、どこをとっても、私には魅力的な音楽です!
”「ばらの騎士」は、女性に好まれるオペラ”とどこで読みました。でも、”コンサート・ベストテン2007”でもこれだけ上位に入っているので、特に女性に好まれるオペラということでもないと思いますが、男性の方にとっても、「ばらの騎士」は感動的なのでしょうか?
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