映画”シルク”
来月、映画”シルク”が公開されます。「絹」というアレッサンドロ・バリッコの作品が映画化されたもの。アレッサンドロ・バリッコは、「海の上のピアニスト」を書いた作家として有名ですが、作家でもあり、音楽学者でもあるという方です。
「絹」は、2001年に読みました。あまり本を読まない私ですが、パリ管(パリ管弦楽団)首席フルート奏者のヴィセンス・プラッツ(Vicens Prats)に「是非読んでご覧。」と勧められたので読みました。彼が、「一つ一つの文章は短いし、易しいから、フランス語で読めるよ。」と言ったのを真に受けて、まずフランス語版を買ったのですが、1ページ目から”蚕”の病気の話が出てくる・・・ わからない単語が多く、辞書を片手に少し読みましたが、ギブアップ。結局、日本語訳を買って、読みました。
フランスと日本が舞台になっていますが、著者が、日本人に読まれることを想定していなかったということで、歴史や地理の考察はしっかりしていません。でも、そこに出てくる国は、日本というよりは、東洋の夢の国。そう考えれば良いのだと思いました。しかし、物語のかなり重要な要素である”蚕”についての理解は、間違っていたようです。著者は、”蚕”が繭を破って外に出た後の破れた繭から、絹を織る生糸が取れると考えていたらしい。著者の”蚕”のイメージは、”夕鶴”のつうのように、美しい布を残して飛び去っていく美しい女性ではなかったのかと思います。生糸を取る為に、繭ごと”蚕”を茹でてしまうと知っていたら、こんなに美しい物語は生まれたのでしょうか?そこは、疑問です。
こういった疑問は兎も角、とても美しい物語。ヴィセンス・プラッツも言っていましたが、アレッサンドロ・バリッコは音楽学者はであるだけあって、音の描写が素晴らしい!鳥の羽音、衣擦れの音などに、想像をかき立てられました。自分のイメージがあるだけに、映画化された作品を見るか、見ないか、迷うところですが、新聞広告を見て、見る方に傾いています。
映画”シルク”のサイトです。
http://www.silk-movie.com/
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